犬猫と人間の「食べる」ということの違い..
壱岐動物病院 院長 福山 達也 ブログ » ペット豆知識 » 犬猫と人間の「食べる」ということの違い..
今年初めに日本で最初のペットフードシニアソムリエの称号を頂いたことはお話しました。先日ホームページでも紹介して頂きましたので、下記をご覧下さい。
http://www.toutelafamille.com/learn/sommelier/sommelier01.html
さて、今日はその関係から「食べる」ということについて我々人間と犬や猫の違いについてお話します。私はいつも飼い主さんに言うことがあります。それは、「人間と犬は違う」そして「人間と猫は違う」生き物であるということしっかり認識する必要があるということです。これを勘違いしている人が多く、人間にいいものは犬や猫にもいいだろうと思っていると根本の出だしから間違うことになります。
まずいつも言いますが、人間は雑食です。犬は「肉食傾向が強い雑食」猫は「完全な肉食」です。犬や猫の体は「肉」を食べることを主体に出来ていることを忘れてはいけません。このためペットフードの原材料の一番始めに書いてあるものが「肉」でないものは病気の時に用いる特殊な療法食は別として、日頃から用いるものとしては問題外なのです。
次に味についてですが、美味しく味付けしてあげようというのは間違いです。なぜなら犬や猫は人間と違い味覚を感じる味蕾という器官が発達していません。ですから味わうということはなくそのまま飲み込みます。これは歯の形も関係しています。犬や猫の歯は噛み切るという行為には適していますが、咀嚼するという行為には適していません。特に猫の歯はすべて尖った形をしていますので、食べ物を噛み切ることは行っていますが、味わっているということはありません。ほとんどの食べ物は固まりのまま胃の中に運ばれます。
また、意外かもしれませんが、人間と違い犬や猫の唾液の中に消化酵素はありません(厳密に言うと極々微量含まれますが消化の助けになるほどの量ではありません)。これは獣医師の中にもご存じない先生がいらっしゃいます。犬猫の唾液は食べ物を飲み込むための潤滑油としての働きを主にしているだけですから、愛犬や愛猫に『ゆっくり噛んで食べなさい』と言っても何の意味もありません。まあ、従うとも思えませんが.....(爆)
さて、飲み込んだ食物は胃に入りますが、この胃も我々に比べると体に比して非常に大きく拡張して食べ物を飲み込むという前提でできています。また、胃の酸度は人間よりも高く、骨を消化したり、有害な細菌を破壊する効果が高くなっています。
その後食べ物は小腸に送られるわけですが、この小腸は人間ほど長くありません。そのため炭水化物の消化には適していないのです。ですから野菜をあげることはかえって負担になるということになります。犬は肉食に近い雑食ですからまだいいのですが、猫は完全な肉食ですから野菜が必要ないのです。しかし市販フードのなかには、さも当たり前のように猫のフードに野菜を入れているものがあります。根本的な動物の栄養学を学んでいないというのが分かりますよね。あとは手作りレシピの中にもさもあたりまえのように野菜を入れているものがあります。明らかに勉強不足です。
腸に関して言えば、雑食の我々は多様な食物を摂取するため消化を助けるために多くの細菌叢を持っていますが、犬猫はそうではなく非常に限られています。これらを考慮した食餌を与えることが重要になります。
私は毎日食べるのものだから食餌には注意をはらってほしいと考えています。当院では一般食から動物病院でしか扱えない療法食までを取り揃え、その子、その子の状態に合わせて使い分けます。もちろん全スタッフがペットフードソムリエ・ニヴォ・ドゥーという中級資格を持っていますので、お気軽にご相談ください。
パッケージが可愛いから! CMしてるから! ましてや安いから!なんて理由でペットフードを選んでいると愛犬や愛猫のためにはなりません。