|
検査に用いるウンチは自然に排出されたもの、又は腸内にあるウンチを採便棒などを使い採取したものを用います。ご自宅で下痢を見つけたらそれを採取して密閉容器やビニールなどに包み。乾燥しないようにして動物病院で検査してもらうといいでしょう。
検査は、まず肉眼による検査を行い 色・臭気・硬さ等を調べます。また 糞便中に異物(ビニール、木材、毛 など)や腸内寄生虫(回虫、条虫) がいないかを確かめます。
次に顕微鏡により検査して、細菌の状態や異常な細菌がいないか? 寄生虫の卵がないかなどを調べます。寄生虫の卵を調べる検査(虫卵検査といいます)には直接法と集卵法の二つがあります。直接法とは、読んで字の如くそのまま顕微鏡で直接寄生虫の卵がないか検査します。集卵法は、便と虫卵の比重の違いを利用して卵だけを集めて検査します。
また、時には消化機能検査も糞便検査に含めることがありますが、一般に糞便検査といえば虫卵検査のことです。
よく「虫が出たから薬を出してほしい」と言って来られる方がいらっしゃいますが、犬や猫のお腹には寄生する可能性のある虫にはいくつか種類があります。このためむやみやたらに薬を飲ませても違う虫を駆除する薬を飲ませていたのでは薬代が無駄になります。ですから、賢い飼主になるワンポイントですが、虫が出たらその虫とウンチを動物病院に持参してください。まず虫を見て確かめ、ウンチを検査して他の種類の虫もいなかいかを確認します。それによりいくつかある駆虫薬を選び適切なものを処方するのがきちんとした動物病院です。
また、当院では定期的な駆虫というのは推奨しておりません。心配な方は、定期的に糞便検査を行い。寄生虫の卵が発見されたらそれに合せて駆虫薬を処方します。虫がいないので薬を飲ませるという定期的な駆虫は必要ないと考えているからです。もちろん、当院のあるような田舎はまだまだ消化管内寄生虫はみられますので定期的な糞便検査を受けることをおすすめします。
主な消化管内寄生虫
①回虫
回虫(かいちゅう)は犬猫に最も多い消化管内寄生虫です。一般に汚染された土壌や便に含まれる卵や幼虫を食べたり、感染したげっ歯類、鳥、ある種の昆虫を食べることによって感染します。また、子犬や子猫はまだ母親の子宮の中にいるときに感染します。
この寄生虫は人にも寄生することのある『人と動物の共通感染症』でもありますので公衆衛生上の注意が必要です。但し、衛生的であれば滅多に感染することはありませんが、汚染された土壌や便を摂取することによって感染します。
特に子供達には子犬や子猫など動物と遊んだときには、きちんと手を洗うなど清潔にすることが大事だと教えてください。人間への感染を防ぐには、定期的に糞便検査を行い、必要なら駆虫を行うことです。
②条虫
条虫(じょうちゅう)は頭部と長い平な片節の体部からなっています。 片節は便中に排泄され、頭部は消化管粘膜に付着して新しい片節を作ります。日本には犬猫に寄生する何種類かの条虫がいますが、多いのは瓜実(うりざね)条虫です。
条虫症は寄生しても著しい症状を示しませんが、消化不良、食欲不振、体重減少、 毛艶の低下などを示すことがあります。条虫は糞便、肛門周りに付着した片節の発見により見つかることがほとんどです。丁度白米をつぶしたような片節がウニョウニョ伸びたり縮んだりして動いているのが見つかります。乾燥すると米粒に似ています。通常、虫卵は便の顕微鏡検査では見られません。
通常、条虫は直接動物から動物には感染しません。中間宿主を必要とし、そこで発育します。一般に中間宿主はノミやハツカネズミ、ネズミ、リス、ウサギのような小動物です。ある種の条虫は魚を中間宿主にするものもいます。
③鉤虫
鉤虫は比較的多い犬猫の消化管寄生虫です。成虫は小腸に寄生し、卵は糞便に排泄されます。
動物が成熟虫卵や幼虫を食べたり、皮膚や足の裏から幼虫が侵入したり、母親の子宮の中で幼虫が胎児に移行したりすることによって感染します。
鉤虫は注意が必要な消化管寄生虫のひとつです。この寄生虫は動物の血液を吸血して重度の貧血を起こさせることがあります。若い動物、年をとった動物、弱っている動物、栄養状態の悪い動物では、鉤虫は突然の衰弱や死を引き起こすこともあります。
鉤虫寄生の動物では体重が減少したり、下痢、タール様便、血便を起こします。
この寄生虫は人にも寄生することのある『人と動物の共通感染症』でもありますので公衆衛生上の注意が必要です。
④鞭虫
鞭虫(べんちゅう)は大腸と盲腸に寄生します。盲腸は小腸と大腸の間にあります。この寄生虫は小さいので便の中に見つけることがなかなか困難です。虫の卵を見つけるために繰り返し糞便検査を行わなければならないこともありますし、卵が感染してから動物の便に卵が出てくるまでに約3〜4ヶ月かかります。 寄生虫卵は特徴的な形をしています、
鞭虫によって下痢や血便が引き起こされ、大量の消化管出血を起こすこともあります。
⑤コクシジウム
コクシジウムは顕微鏡で見なければみつからないような小さな原虫です。この病気は汚染された便と接触することによって 動物から他の動物へ広がります。
泥状〜水様下痢便が始まり食欲が低下し、若い動物、弱っている動物では重症の場合、粘血便となり死に至ることもあります。
⑥ジアルジア(ランブル鞭毛虫)
ジアルジアは人間や犬猫、その他の動物の消化管寄生虫です。これはランブル鞭毛虫とも呼ばれる顕微鏡で見なければ判らない位小さな原虫です。
主に汚染された便、食物、水を飲むことにより小腸上部 に感染します。感染すると便に感染シストが排泄され、再び感染サイクルが始まります。
この原虫は発見が難しく、何回も糞便検査を繰り返してやっと発見されることもあります。
症状は淡色で油っぽい持続的な下痢や軽い血便です。

|